★第三話★

話が繋がらないので、読んでない方は先にこちらを読んで下さい。

 

⇒第一話
⇒第二話

 

では続きです。

 

現実に打ちのめされ・・・

 

「おねがいします!お母様の形見を売って下さい!!!」

 

 

私は、埼玉のとある住宅街で、先輩と一緒に土下座をしていた。

 

 

お母さんの形見だという、プラチナの指輪を売ってもらうためだ。

 

 

「目標金額まで達さないなら帰ってくるな!」

 

 

これが会社のやり方、方針、ルールだったから必死だった。

 

 

他人に土下座をして、お願いする事なんて滅多にないだろう。

 

おそらく普通だったら、一生に一度位かもしれない土下座という行為・・・

 

だが、この仕事では日常茶飯事のことだった。。。

 

 

 

貴金属の出張買取スタッフになり一週間。

 

 

まさに地獄だった。

 

 

その当時の一日はこうだ

 

 

 

9時に渋谷宮益坂の会社に出勤

 

机を蹴飛ばしながら、

 

「売上があがらねぇ〜ぞ!テメーら!」

 

と、ブチ切れる上司の怒号の朝礼から始まり

 

異常とも思える、大声での声出しミーティング

 

 

 

その後、お決まりの気合の掛け声をした後

 

グループ毎に車に乗り込み、住宅街へと繰り出す・・・

 

 

 

各自、散らばり13時頃から21時位まで

 

 

ピンポーン!

 

「ご不要の貴金属ございませんでしょうか?」

 

 

 

これの繰り返し。。

 

●「間に合ってます」
●「そんなのありません」

 

は挨拶代わりだと教わった。

 

 

 

そこからガンガン粘るのだ。

 

 

 

時には警察を呼ばれる事もあった。

 

「しつこくて帰らないセールスマンがいる」

 

と通報されるからだ。。。

 

 

 

飛び込み営業や訪問販売などを、ご経験された方なら、この辛さが痛いほど分かると思う。

 

 

 

 

帰る頃には疲れ果て、足は棒になっていた。。。

 

 

 

渋谷〜浅草までの帰りの銀座線の電車は、

 

ゆりかごとなり、

 

死んだように眠った。。。

 

 

 

週末が来るのを、これほど待ち望んだ事は無いかもしれないほど

 

金曜の夜が待ち遠しかった。。。

 

 

 

 

 

働き始めて2週間目・・・

 

 

 

もう限界だった。

 

精神的にも、肉体的にも・・・

 

 

 

朝、家を出なくてはいけない時間帯・・・

 

身体が動かなかった。

 

 

 

「行かなくては・・・遅刻だ・・・」

 

 

 

頭ではわかったいたが、動けなかった。。。

 

 

 

どこかに出掛けたくなるような、

 

清々しい快晴の日。。。

 

こんな陽気の中、太陽が俺を皮肉っている様に思えた。

 

 

 

「今日、世界が滅亡しちまえばいいのに・・・」

 

 

 

そんなこと本気で願った。

 

 

 

そのくらい精神的に限界だった。

 

●絶望感
●虚脱感
●自己嫌悪

 

 

全てのマイナス感情が俺を包んでいた。

 

 

 

その日、彼女に今の会社の事、感情全てを打ち明け、

 

俺は会社をバックレた。

 

 

不本意だったが、

 

 

 

俺は逃げた。。。

 

やり切れなかった。。。

 

やり通せなかった。。。

 

 

 

それからというもの、

 

敗北者、負け組、クズ、ゴミ、カス、

 

どうしようもない人間だと

 

自分で自分を責めた。

 

 

 

意気揚々と、変わるぞ!

 

と誓った自分が

 

たったの2週間で挫けたのが情けなくて、情けなくて仕方なかった。

 

消えてしまいたい・・・

 

 

そんな現実から目をそらす様に、ネトゲ廃人へとなっていった。

 

 

 

昼ごろ起きて。朝方までネットゲームの世界に入っていた。

 

 

 

昼間からネトゲをやっている連中も俺と、さほど変わらない

 

社会不適合者、ゴミクズ、ニートばかりだったから、居心地が良かったのかもしれない。

 

 

 

共通して言えることは、現実逃避し

 

嫌な何かを見ないように、

 

面倒なこと、将来への不安なども先送りにし

 

今をただ惰性で生きている言う事。

 

 

かくいう俺もそんな状態だった。

 

 

 

全ての自信を失っていたのだ。

 

 

 

そんな生活を一ヶ月間、繰り返した・・・

 

 

 

 

そんな変わり果てた姿を1番近くで見ていたのは、

 

当時の彼女だったのは言うまでもない。。。

 

 

 

夜・・・

 

仕事から帰ってきた彼女が、

 

帰ってくるなり

 

「話がある・・・」

 

と言ってきた。

 

 

 

その目は、固く険しく、

 

宮田優一という、過去の人物を見る様な冷たい目をしていた。

 

 

 

彼女が口を開いた。。。

 

 

 

続く・・・

 

次⇒彼女が口を開いた・・・